レモン水
レモン水、知ってますか?
いや、引っ掛け問題とかではなく単に水にレモン(輪切りが多いかな?)を入れただけのものなんだが…
あれって水に溶けてる塩素を除去する効果があるんだって?
プロフィール欄にも書いてある通り私は大学生なのだが、先日、教授と話している時に教えて貰った。
プライバシー保護のため詳しいことは言わないが、その先生は「水道水に入ってる塩素は有害だ」と思ってるタイプのヒトである。だからいつもペットボトルの水を飲んでるし、水道水は浄水器を通さないと飲まない。
そんな先生が言った。
「レモンは塩素を消してくれます」
…ほんとか?理屈を聞いたが、よく知らないとのこと。(文系の先生だ、はなからそこまで期待はしていなかった。)
ならば調べるしかないか。記事のネタが手に入ってラッキー!!
そもそも水中の塩素って?
そもそも、塩素消毒に使われている塩素がどういう形の塩素か知っているだろうか?
「塩素の形ってなんだ」、って?
では別の話…鉄で例えてみよう。みなさんが「体にいいから鉄を摂れ」って言われたときと「鉄を溶接して車を作ります」って言われたときに思い浮かべる「鉄」は同じものだろうか?
違いますよね。摂取する鉄といえばレバー・ホウレンソウなどの鉄分豊富な食材やサプリメントとかを思い浮かべるのでないか?まさか鉄板を食べる人はいないだろう。
同じ「鉄」でも、文脈によって違う「鉄原子を含む何か」を指している。大雑把ではあるが、これが元素の形の違いだ。
日本語だと同じ鉄だが、化学式で表すとこの違いを表現できる。
摂取する鉄分はFe2+(のようにイオンと呼ばれる形で)、鉄板はFe(のように単体の鉄として)書き表される。
ここで話を戻そう。水道水に溶けている塩素といういのは、いったい「塩素原子を含む何か」のうちどれのことを言っているのだろうか?
答えは、次亜塩素酸ナトリウム。
化学式でいえばNaClOで、塩素原子と酸素原子、ナトリウム原子の化合物だ。
だから、わざわざ単体ではなく化合物の次亜塩素酸ナトリウムを溶かしている。
同じ元素でも、形で性質まで変わる。化学の面白くも難しいところだ。
ならば次に、「水中の塩素を除去する」とはどういうことか。
これには複数の方法がある。
ひとつは、水の中からその物質を物理的に取り除くこと。溶けていない物質であればろ過などで取り除くことができる。
では溶けている物質はどうやって取り除くか。加熱して蒸発させたり、温度を変えて沈殿させたりがそれにあたる。
もう1つの方法は、物理的にではなく、化学的に取り除くことである。つまり、別の物質と化学反応させたりして「形を変える」のだ。
だから「レモン水で塩素除去」とは、レモンを加えた結果、水中の次亜塩素酸ナトリウムが蒸発したり沈殿したり別の物質になったりすればいいのである。
レモン+水道水=?
さぁ、予習はここまでだ。
ここからが本番、レモンが入った水の中で次亜塩素酸ナトリウムに何が起きているか説明しよう。
これは説明不要だと思うが、レモンにはビタミンCがたくさん入っている。実は、このビタミンCが次亜塩素酸ナトリウムと化学反応を起こすのだ。
化学反応式で言うと以下の通り。
C6H8O6 + NaClO → C6H6O6 + H2O + NaCl
C6H6O6がビタミンCのことだ。それが次亜塩素酸ナトリウムと反応したことで、酸化ビタミンC(C6H6O6)と水(H2O)と塩化ナトリウム(NaCl)になった。
なんだかとても難しい化学反応が急に出てしまったが、大事なところは一点だけ。
次亜塩素酸ナトリウムが
別の物質に変わった!
そう、塩素の除去に成功したのだ!
レモンは本当に塩素除去していた。
先生、疑ってごめん…
おわりに
レモン水は本当に塩素が除去されてるのか?という疑問から始まった今回だが、ちゃんと除去されていることが判明した。
ちなみに、先ほどの化学反応でできていた「塩化ナトリウム」。わかる人はすぐわかると思うが、食塩のことである。
だから、レモン水はごくわずかにしょっぱくなっている。味覚の鋭さに自信がある人はぜひ感じ取ってくれ。
さいごに、水に溶けている塩素がそもそも有害なのかどうか話しておこう。
たしかに、塩素は有害物質だ。しかし、人に効くということは同じ生き物である病原菌にも効くといくこと。
そして、研究の結果、人は多少の塩素は耐えられることがわかっている。
だから、人は耐えられるが病原菌は耐えられないくらいの量を水に入れている。
つまり、「有害だが死なないレベルの量だから安全」が答えだ。
「いやいや、でも有害なんでしょ?」と思ったそこの貴方!
トウガラシだって体には有害な物質だけど、みんな死なない程度に食べてるでしょ?
あれと変わらないんです。
それでも気になるなら、レモン水を飲めばいい。
とまぁ、今回はこんなところだろうか。
最後までお付き合いありがとうございます。
また別の記事でお会いしましょう。
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